辻哲夫氏(東京大学 高齢社会総合研究機構 客員研究員 元厚生労働事務次官) 「2040年に向けての挑戦 ―超高齢人口減少時代の高齢者の自立と連帯―」

2022年6月に 東京大学 高齢社会総合研究機構 客員研究員 元厚生労働事務次官 辻哲夫氏をお迎えして「2040年に向けての挑戦 ―超高齢人口減少時代の高齢者の自立と連帯―」をテーマに基調講演を頂戴いたしました。


ご講演概要:
辻哲夫先生には、「2040年に向けての挑戦 ―超高齢人口減少時代の高齢者の自立と連帯―」をテーマに 東京大学 高齢社会総合研究機構 でのフレイル予防のシステム化に向けた国内プロジェクトの成果に基づきお話を頂きました。

辻先生からは、フレイルに影響する大きな要素が「孤独」であり高齢者が主体となって活躍し、いかに孤立させない地域・コミュニティづくりをしていくか、制度としてフレイル予防のシステムを実現していくかという観点でお話を頂く、大変有意義な機会となりました。地域の高齢者が主体となって生活習慣の課題を自分ごと化するフレイルチェック制度、住宅メーカーが中心となって小売業を誘致し自治体が再生した事例などについてお話を頂きました。

 

質疑応答概要:
質疑応答ではご参加された皆様からは「政府の骨太方針では国民皆歯科検診が盛り込まれていた。高齢者の口の健康の重要性は?」、「団塊世代以降の地域包括ケアシステムをどう進化させるか?」、「食や睡眠の行動変容を若い人にどう促すか?」などの質問がありました。

辻先生からは、「口は生存に欠かせない食を司る重要な器官であり、歯科検診は非常に重要である。」、「人生100年時代のトップランナーである団塊世代から日本の政策をパラダイムシフトさせていくべきではないか。」、「人間同士の納得によって行動変容が起こるため指導という考えは適切でない。東京大学 飯島教授の開発したフレイルチェック制度でデータを見る習慣ができ、高齢者の方へ大きな動機付けとなった。」という非常に重要な示唆を頂きました。

 

スピーカー様 プロフィール・ご経歴:
1971年東京大学法学部卒業後、厚生省(当時)に入省。老人福祉課長、国民健康保険課長、大臣官房審議官(医療保険、健康政策担当)、官房長、保険局長、厚生労働事務次官等を経て、2009年東京大学高齢社会総合研究機構教授、2011年同機構特任教授、現在に至る。厚生労働省在任中に医療制度改革などに携わった。
著書として、『日本の医療制度改革がめざすもの』(時事通信出版局、08 年)、『地域包括ケアのすすめ:在宅医療推進のための多職種連携の試み』共著、東京大学出版会、14年)など。