小泉武夫博士(発酵学者 食文化論者 統合ヘルスケアイニシアティブ グローバル・アドバイザリー・メンバー) 「発酵で健康」
2022年4月に 発酵学者 食文化論者 統合ヘルスケアイニシアティブ グローバル・アドバイザリー・メンバー 小泉武夫博士をお迎えして「発酵で健康」をテーマに基調講演を頂戴いたしました。
ご講演概要:
小泉 先生には、「発酵で健康」を国内外の研究成果に基づきお話頂きました。医食同源、江戸時代の日本人の食生活など歴史的な逸話とユーモアも交えてお話を頂き、発酵食の免疫の効果、日本古来の食文化がいかに人々の健康に貢献をしているかを改めて学ぶことができる大変貴重で有意義な機会となりました。
放射線を浴びたマウスを比較して、味噌(発酵)を食べさせたマウスグループが長生きしたという広島大学医学部の実証実験をご紹介頂きました。 またスタンフォード大学医学部のソネンバーグ准教授の「腸科学」についてもご紹介頂きました。腸内細菌を整えることが健康維持や病気の予防、腸内細菌のバランスが、生活習慣病やアレルギー、がんやうつ病、自閉症といった精神疾患などにも影響を与えるという実験です。
発酵が、健康寿命を延ばすため、腸内発酵食品が免疫力を高めて健康に寄与すること、そして、その可能性の追求には、更なる実証研究、そして日本酒、酒粕と地域、他企業、他団体との連携、協働したアプローチなども求められることも理解しました。
スピーカー様 プロフィール・ご経歴:
農学博士 専攻は醸造学・発酵学・食文化論。1943年(昭和18年)福島県の酒造家に生まれる。家業を継ぐため、醸造学と発酵学を修め、現在は食文化論。1982年から東京農業大学応用生物科学部醸造科学科教授を務める。2009年3月に退任し、同年より名誉教授に就任。食物・微生物関連で特許20件を超えるほか、日本醸造協会伊藤保平賞や三島雲海学術奨励賞など多数受賞。現在、鹿児島大学、福島大学、別府大学、石川県立大、島根県立大学ほかの客員教授、発酵食品ソムリエ講座・発酵の学校校長を務める。
特定非営利活動法人発酵文化推進機構理事長、発酵のまちづくり全国ネットワーク協議会会長、「和食」文化保護・継承国民会議委員(農水省大臣官房)、食料自給率向上協議会会長(農水省大臣官房)など。食に関わる様々な活動を展開し、発酵の魅力を広く伝えている。
著書
『食あれば楽あり』(日本経済新聞社)『発酵食品礼讃』(文春新書)、『食と日本人の知恵』(岩波現代文庫)、『食の世界遺産』(講談社)、『江戸の健康食』(河出書房新社)、『醬油・味噌・酢はすごい』(中公新書)、『超能力微生物』(文春新書)、『食でたどるニッポンの記憶』(東京堂出版)、『漬け物大全』(講談社学術文庫)、『灰と日本人』(中公文庫)、小説『夕焼け小焼けで陽が昇る』(講談社文庫)、『猟師の肉は腐らない』(新潮社)、『幻の料亭・日本橋「百川」黒船を饗(もてな)した江戸料理』(新潮社)、『骨まで愛して粗(あら)屋(や)五郎の築地物語』(新潮社)、『食いしん坊発明家』(新潮社)『FT革命―発酵技術が人類を救う』(東洋経済新報)など単著は148冊を超える。また『食あれば楽あり』を日本経済新聞に29年間連続連載中